コロナ禍による需要蒸発が直撃した航空業界
航空は新型コロナウイルス禍による打撃が最も大きかった業界の一つでした。新型コロナの影響による入国制限や検疫体制の強化で、国境をまたぐ移動需要がなくなり、旅客需要が大きく減少し、2020年の冬、感染症が世界に広がって以降、ANAもJALも旅客数、とりわけ国際線は年間でコロナ前の10%前後にまで落ち込みました。
この影響で、国内航空大手2社の株価はコロナ以前よりも株価が大きく値を下げた状態が続いていましたが、新型コロナワクチンの接種が進む中、世界の観光業界がコロナ前に戻ることを織り込んでコロナショック前の株価水準を回復しつつあります。
国内航空旅客数の推移
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001467196.pdf より
2020年度のデータで終わってしまっていますが、この年の国内の旅客者数は前年度の1/3程度まで減少しています。
国際航空旅客数の推移
国土交通省 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001467196.pdf より
こちらも2020年度のデータで終わってしまっていますが、この年の国際線の旅客者数は前年度の1/10以下まで減少しています。
上の表を見ての通り、国内線、国際線ともに大きく旅客者数を減らし、2020年3月期(2019年4月1日~20年3月31日)連結決算において、当期純利益はJALグループが前年比64.6%減の534億円、ANAが同25%減の276億円。両社とも新型コロナの影響で2月以降の旅客数を大きく落とし、JALは2期ぶりの最終減益、ANAは1~3月が過去最悪の数字で大幅減益となりました。
ただし、最近はコロナウイルス変異型対応のワクチンが開発されるなど、ビジネスはもちろん、観光を主としたインバウンド効果も加わり、旅行需要が増えることが期待されています。
日本航空(JAL)・ANA ホールディングス最終損益
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2208/03/news141.htmlより
2022年4〜6月期の連結決算では、最終損益は195億6000万円の赤字。
前年同期は579億1900万円の赤字であった。
JAL 株価推移
2017年から2022年(9/15現在)のJALの株価の推移(週足)
JALの株価は新型コロナウイルスの影響を受け、2020年2月半ば頃から暴落しましたが、その後、「Go To Travelキャンペーン」や「コロナワクチンの接種率」上昇など株価にプラスに働いたり、「変異株の出現」などで大きく下げたりしましたが、ここ数年の長期的な視点みると下値1,650円台、上値2,700円の間でボックス相場を続けています。
高値に関しては、過去3回、2,700円を試しましたがいずれもそれ以上超えることはありませんでした。
2022年、9/15現在、再び2,700円の壁を試していますが、突破できるかどうか重要なところです。さいごに
コロナの終焉
2022年9月現在、欧米についてはコロナウイルスに対して、「”ゼロ”コロナ政策」から「”ウィズ”コロナ政策」へ舵を切り、感染者ゼロを目指すのではなく、いかにウイルスと付き合っていくかにシフトしています。
日本もワクチンの使用により、重症患者を減らし徐々にコロナによる規制を緩和していくとみられます。
こらから旅行需要、とりわけ海外からの旅行者がみられるインバウンド需要が高まってくると思われます。
9/7より海外からの入国者数上限を2万人から5万人に緩和しました。
また、10月以降より入国者数上限を撤廃するかどうかの議論に入ったそうです。
これにより、インバウンド需要が見込まれる業界、特に航空株などはこれから伸びてくる分野ではないかと私は考えています。
また、各国の政策金利上昇、特にドルの金利引き上げが、ドル円安を加速させていますが、海外からドルを稼ぐ会社もこれから強いと思います。
特に、輸出産業は円安により伸びると思いますし、なにより航空業界も国際線が主な収益の柱なので、コロナが収束し、観光業がまた以前のように戻れば、十分に収益が見込めるため、株価もまた以前の価格まで徐々に戻っていくのではないかと考えています。
一緒に確認したい銘柄
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